TRIVIA スパイス百科
マラゲータ MALAGUETA PEPPER
鮮烈な辛味で存在感を放つ、南米系チリ
マラゲータはブラジル料理を代表する唐辛子で、強い辛味とフルーティーな香りを併せ持ちます。ムケッカ(魚の煮込み)、グリル肉、ホットソースなどで使われ、少量でも料理を引き締めます。
辛味強。
プーヤ PUYA CHILI
甘みと辛味のバランスが美しい、伝統的赤唐辛子
プーヤはアルボルに似た外見を持ちながら、よりフルーティーで深みのある風味を持つ唐辛子です。チリソース、煮込み料理、スパイスペーストに使われ、辛さだけでなく香りを重視する料理に向いています。日本ではまだ流通が少ないものの、クラフトカレーや発酵調味料との相性が良く、今後注目される唐辛子です。
入手性がやや低い。
チレ・デ・アルボル ARBOl CHILI
軽やかな辛さが魅力の、万能小型チリ
チレ・デ・アルボルは細長く小型の乾燥唐辛子で、クセが少なくストレートな辛味が特徴です。メキシコではチリオイル、炒め物、スープなど日常使いされ、料理の辛さ調整に欠かせません。風味がシンプルなため、和食のアレンジ、オイル漬け、スパイスブレンドにも相性が良く、プロ・家庭問わず使いやすい唐辛子です。
辛味は中〜強。
セラーノ SERRANO CHILI
フレッシュ感あふれる、青唐辛子の代表格
セラーノは生のまま使われることが多い唐辛子で、シャープな辛味と爽やかな青い香りが特徴です。メキシコではサルサ・ヴェルデ、ワカモレ、フレッシュソースに欠かせない存在で、加熱しても香りが飛びにくい点が評価されています。日本でも、刻んで薬味、ピクルス、スパイシーなドレッシングなど幅広く使われ、辛さと清涼感を同時に演出できる唐辛子として注目されています。
生使用時は刺激が強め。
チポトレ CHIPOTLE
香ばしさで料理を格上げする燻製唐辛子
チポトレは完熟したハラペーニョを燻製乾燥させた唐辛子で、スモーキーな香りと中程度の辛味が最大の特徴です。メキシコでは古くから保存食として作られ、バーベキューソース、チリソース、煮込み肉料理に欠かせない存在です。燻製香が強いため、少量でも料理全体の印象を変える力があり、近年はハンバーガー、チリオイル、スモーク系スパイスブレンドにも多用されています。
香りが非常に強いため使いすぎ注意。
アンチョ ANCHO CHILI
フルーティーで扱いやすい、万能レッドチリ
アンチョは完熟ポブラノを乾燥させた唐辛子で、干しぶどうやプルーンのような甘い香りと、穏やかな辛味が特徴です。メキシコ料理では非常にポピュラーで、タコス用ソース、チリコンカン、肉のマリネなど幅広く使われます。辛さが強すぎないため、唐辛子が苦手な層にも受け入れられやすく、家庭料理や業務用の双方で活躍します。日本でも、スパイスカレー、トマト煮込み、唐辛子ベースの調味料に応用しやすく、色・甘み・旨味を同時に補える唐辛子として重宝されています。
辛味は弱〜中。初心者向け。
パスティージョ PASILLA CHILI
甘みと苦味が交差する、大人の唐辛子
パスティージョは乾燥させたチラカ唐辛子で、レーズンやカカオを思わせる深い香りと、ほのかな苦味が特徴の唐辛子です。メキシコでは古くからソース文化とともに発展し、モーレ・ネグロ、チリソース、肉の煮込み料理などで重宝されてきました。辛味は中程度で、単体でもブレンドでも使いやすく、複雑な味わいを料理に与えます。近年では、チョコレートを使ったソースやスパイスドリンク、燻製料理などへの応用も進み、甘苦い風味を活かした使い方が評価されています。
焦がしすぎると苦味が強く出るため加熱に注意。
グアヒージョ GUAJILLO CHILI
メキシコの万能唐辛子
グアヒージョはメキシコ料理を代表する乾燥唐辛子のひとつで、辛味は控えめながら、赤い果実やベリーを思わせる穏やかな甘みとコクが特徴です。ナス科トウガラシ属の完熟果実を乾燥させたもので、16世紀以降のメキシコ食文化とともに発展し、現在でも家庭料理からレストランまで幅広く使われています。特にチリ・コン・カルネ、エンチラーダソース、モーレソースなどでは、辛さよりも色味と旨味を加える目的で欠かせない存在です。近年はメキシコ料理以外にも、煮込み料理やトマトベースのソース、スパイスカレーに使われることも増え、唐辛子=辛いだけではないという価値を伝えるスパイスとして注目されています。
辛味は弱め。色付けと風味付け目的に向く。
ローリエ BAY LEAF
煮込み料理の背景を整える葉
ローリエは地中海沿岸原産の月桂樹の葉を乾燥させたスパイスで、煮込み料理に欠かせない存在です。シチューやカレー、スープに加えることで、料理全体の香りをまとめ、雑味を抑える役割を果たします。主張は控えめながら、欠かすと物足りなく感じる名脇役です。
ベイリーフには、同じ呼び名でも2種あります。
見分け方は、葉脈です。
ローリエの葉脈は横に沿っていて、シナモンリーフは縦に葉脈が走っています。
・ローリエ (別名 ローレル):トルコ産 クスノキ科/ゲッケイジュ属
・ベイリーフ(別名 インディアンリーフ・カシアリーフ・シナモンリーフ):インド産 クスノキ科/ニッケイ属
セロリシード CELERY SEED
野菜の香りを凝縮した、小さな種
セロリシードはセロリの近縁植物の種子で、強い香りとほのかな苦味が特徴です。ピクルスやコールスロー、スープ、ミートローフなどに使われ、料理に野菜由来の深みを与えます。欧米では定番の食用スパイスです。
オールスパイス ALLSPICE
一粒で、複数のスパイスを思い出させる存在
中南米原産のオールスパイスは、クローブやナツメグ、シナモンを思わせる複雑な香りを一粒で持つスパイスです。ミートローフやハンバーグなどの肉料理に深みを与えるほか、ジャークチキンのようなスパイス料理、クッキーやケーキなどの焼き菓子にも使われてきました。甘味とスパイス感を同時に演出できる点が特徴です。
複数スパイスの混合ではなく、単一植物由来です。
エルブ・ド・プロヴァンス HERBES DE PROVENCE
南仏の風景を、そのまま束ねた香り
エルブ・ド・プロヴァンスは、タイムやローズマリー、セージなどを中心にブレンドした南フランス由来のハーブミックスです。ローストチキンやラム肉、ズッキーニやトマトのグリルに使うと、乾いた風と日差しを感じさせる香りが立ち上がり、料理に地中海的な印象を与えます。オリーブオイルとの相性も良く、マリネやソテーにも幅広く活用されています。
配合はメーカーや地域によって異なります。
ウルフベリーシード WOLFBERRY SEED
果実文化の背景にある、静かな種
ウルフベリーシードは、クコの実(ゴジベリー)を実らせる植物の種子で、中国を中心とした東アジアの食文化の背景に存在してきました。華やかな果実に比べると控えめな存在ですが、薬膳スープや滋養を意識した煮込み、穀物粥に少量加えることで、土っぽく落ち着いた風味を与えます。日常の料理や飲用素材として、体を労わる思想とともに受け継がれてきた素材です。
一般的には果実(クコの実)の方が食用として流通しています。
アニスシード ANISE SEED
甘さの記憶を呼び起こす、香りの種
アニスシードは地中海沿岸から中東を原産とするセリ科植物の種子で、リコリスを思わせる甘く清涼感のある香りが特徴のスパイスです。古代エジプトやローマ時代から食文化に深く根付き、パンやビスコッティ、スパイスクッキーなどの焼き菓子に使われる一方、魚のマリネや白身魚の香り付けとしても重宝されてきました。甘さを引き立てながらも料理全体を軽やかにまとめるため、菓子・料理・酒類まで幅広く使われ続けている伝統的なスパイスです。
フェンネルやスターアニスとは別種ですが、香りの系統は近いスパイスです。
アナトーシード(アチョーテ) ANNATTO / ACHIOTE
味を変えずに、料理の印象だけを塗り替える天然の絵の具
中南米原産のベニノキの種子から得られるスパイスで、穏やかな香味と鮮やかな橙赤色が特徴です。香り自体は控えめですが、料理に自然な温かみのある色合いを与えるため、先住民の時代から食用や染料として使われてきました。現在でもメキシコやカリブ料理、チーズやバターの着色など幅広く利用され、油に移して使うことで色味が美しく引き出されます。味を主張せず、料理全体の印象を支える「背景のスパイス」として長く親しまれてきました。
主に色付け目的で使われ、辛味はありません。